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A商店は1976年にS向けの専用倉庫を設け、約102店舗に向けて日用雑貨の配送に取りかかった。
2年前に1ヵ月のA商店のS向け1店舗当たりの売上高は約9万円だったが、83年には約14万円へと店舗数の拡大と共にA商店の業績も急拡大していくことになった。
しかし依然としてトラックが店にやってくる台数は多く、加盟店主から不満が出ていた。
75年ころまでは約80社の卸業者や配送業者などのベンダーが「S」各店にそれぞれ商品を供給していたが、S本部は76年に配送業者や問屋などベンダーの集約に乗り出すことにした。
ある地域ではAビール会社系のビール卸にA社商品だけでなく、B社、C社、D社の商品を持ってきてもらい、そのA社系ビール卸が「S」の店舗に運ぶ。
同じように別の地域ではB社のビール卸がA社、C社、D社の商品を店舗に届けるといった具合だ。
窓口になるベンダーを決めて担当地区に配送する。
これだけでも1店舗にやってくるビールを積んだトラックがこれまでの4台から1台に減る。
理想論では確実に効率化が出来る。
しかし、いざ実際にベンダーの集約をS本部が要請しても、ある地域では仕事がなくなるベンダーが出るから反発が噴出する恐れがあった。
全体では効率化が出来るといっても、長年続いた系列問屋の仕組みをわずか百店舗ほどしかないSのために崩されることに抵抗があった。
Sは取引先にベンダー集約についての協力ができるかどうか打診をした。
取引先の中には、店舗が拡大するSと今後もビジネスを続けるのか、それとも止めるのかという一種の踏み絵のように受け止めるところもあった。
結果として数社が取引をやめ、1店舗あたりのベンダーは約50社になった。
同時にデイリー商品である牛乳、めん類、漬物、サラダなどを毎日一緒にまとめて配送することを考えた。
日配商品のメーカーは零細企業が多く、配送手段が整備されていなかった。
余裕のあるベンダーの既存の設備を使用して共同配送センターを設け、各メーカーがこのセンターまで商品を運び、センターから「S」の各店舗に配送するという仕組みだ。
まず75年に東京・築地にある和光水産(鮮魚)の工場に紀文(おでん種)、東海漬物(つけもの類)などが午前6時までに製品を持ち寄り、発注伝票にしたがって担当地区ごとに商品を交換してまとめ、地区ごとに各メーカーのトラックが店舗に向かう試みがスタートした。
このベンダーの集約化と日配商品の共同配送が始まった76年には、1店舗1日あたりのトラック台数は42台に激減した。
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